プロジェクト事例

次世代エネルギーの選択肢の1つ、
核融合発電プロジェクトに参画

イントロダクション

核融合発電は、原子力発電に代わる次世代のエネルギー技術として期待されており、
日本を含む世界中の国々が協力して研究・実証を進めています。
実用化のカギを握るのが、莫大なエネルギーを放出させ、効率的に取り出すための核融合炉。
トップ精工はある国際的なプロジェクトに参画する企業からのお引き合いで、
実験装置の重要部品製作を担当しています。
そんな一大プロジェクトに携わる営業と開発エンジニアの思いをご紹介します。

核融合発電とは

重水素と三重水素の原子核を超高速で衝突・融合させて生まれたエネルギーを利用し、発電する技術。核分裂エネルギーを利用する原子力発電とは異なり、クリーンかつ安全性が高いとされています。また、燃料となる重水素と三重水素は海水から採取できるため、半永久的にエネルギー供給が可能。こうした特徴から、夢のエネルギーと言われています。

核融合発電のメリット

  1. POINT.01 エネルギーが大きい
  2. POINT.02 資源が無尽蔵
  3. POINT.03 環境負荷が少ない

トップ精工が提供している価値

切削と拡散接合を用いた
高融点金属の加工

炉内の温度は約1億度!
過酷な環境下で用いられる超精密部品

海外営業 蒲生の視点

核融合発電技術をめぐっては、世界各国の企業や研究機関が実用化を目指して、しのぎを削っています。その開発にはまだ多くの課題があって、最大のハードルは核融合を起こす炉の製造方法を確立しなければならないこと。温度が1億度に達する炉内で起きる核融合反応は、太陽の内部で起こっているのと同じ反応です。莫大なエネルギーを放ち不安定なプラズマを制御しなければなりません。そうした過酷な環境下に耐えられる部品製作のご相談を受けたことが、すべての始まりでした。
お客様のご要望を満たすためには、高融点金属の精密加工と拡散接合を組み合わせる必要があり、それまで幾多の難案件に取り組んできたトップ精工にとっても前例のない、異次元レベルのものでした。しかし、実現すれば人類の未来を変えるイノベーションに役立つはずで、トップ精工の存在感を世界にアピールする格好のチャンスにもなる。もちろん、失敗のリスクはありますが、そのリスクを認識した上でも挑戦しなければ、未来はありません。開発部のメンバーとも話し合い、絶対に成功させようと、2024年1月からプロジェクトがスタートしました。

開発 大川の視点

お客様からのご依頼をもう少し具体的に言うと、超高温環境の下で使う部品で、複数枚の高融点金属を加工後に接合させ、目的の形状を得るというものです。難削材の加工と接合、両方の技術をミクロン単位の精度で追究できる会社となると世界的に見ても希少なので、当社に白羽の矢が立ったのではないでしょうか。今回のミッションは正真正銘、地球上で誰もやったことがないフロンティア分野。お客様とゼロベースからディスカッションを重ね、トライ&エラーを繰り返しました。加工に関しては比較的、スムーズに道筋が見えたのですが、苦労したのは拡散接合の技術的な確立です。拡散接合は、母材の表面同士を加熱圧着させて原子レベルで強固にくっ付ける技術。どのくらいの温度・加圧条件が最適なのか、その条件を見つけ出すことが難しく、接合強度が出なかったり割れてしまったりと、なかなかうまくいかなくて心が折れそうになることもありました。しかし、他部署のメンバーにも相談しながら粘り強く試作に取り組んだ結果、ついにお客様にご納得いただき、2024年秋から生産を開始する運びとなりました。

開発 成田の視点

開発職は、パソコンに向かって図面を書いたりシミュレーションをしたりといったイメージを抱かれがちですが、トップ精工における開発職は業務の幅がもっと広く、アクティブ。たとえば、お客様との打ち合わせも営業と一緒にできるだけ参加します。概念設計から始まり、具体的な仕様をどうするのか、現在の課題と対策方法は何かなどを一緒に考え、アイデアを出し合いながら詰めていく。まさに今回のプロジェクトは、そうしたトップ精工らしいスタイルで進められました。
入社して早々、こんな大きな開発プロジェクトに携われることに驚きつつ、勉強しながら取り組んできました。核融合に関しては経験がないのはみんな同じなので、現在の知識よりも、将来のために何としてもやり遂げるんだという強い意志と使命感のほうが重要なのだと実感しています。
核融合発電は、地球温暖化やエネルギーの枯渇といった課題を解決する選択肢の1つ。そう考えると、できるだけ早く実現させなければなりません。私たちと同じ志を持って地道に、クリエイティブに新しいものを生み出したい開発志望の方にぜひ、入社していただきたいですね。活躍のフィールドはすごく広くて、やりがいに満ちています。